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2016年11月30日

悪いものを連れてくる女A

悪いものを連れてくる女の影響はすぐに出た。客足が遠のいた。客を待たせるわ、言葉遣いは悪くて客を怒らせるわ、商品の扱いは悪いわ・・・。客足は半分に減った。

商品は売れ残り、店は赤字に近づいて行った。従業員にも彼女と仕事をすることで気分を害し、少し発狂状態になる物もいた。ただ、健常者だったので愚痴を言うぐらいで済んだが、普段愚痴を言わぬものまで彼女を嫌い愚痴を言い、避けるようになった。そして店には不穏な空気が貯まるようになっていった。

そんなある日、事件が起きた流血事件は彼の疑いを確実な事実と認識させた。深夜客が入っていない時はそこかしこで、霊による物音が響いているし、人のいないところで扉は開閉するし、もういろんなものが集まってきていた。

正直、悪いものにもともといたものが影響を受け、すべてが瘴気に取り込まれていった感じだったという。そこに、精神疾患でリハビリ中の社員が復帰してきた。

精神疾患なんてのは霊的に言えば、この世と、向こうの世界の境界線が壊れている状態である。少し良くなったとはいえ、そんな人間が悪霊渦巻く店内に入り、人と接するわけだ・・・・。しかも何の感情もなく相手にとげのある言葉を投げつける『悪いものを連れてくる女』がいるわけだ。悲惨だった・・・・。そういうしかなかったという。

ある日、彼が勤務する時間帯にある若者が来店した。レジの2mほどの距離にたたずみ、何か言いたそうに佇んでいる。何かと思ったが『眼が飛んでいる』と判断できたのでしばらく様子を見ていた。

数分動かないので、声をかけてみた。

『何かお求めですか?』

一瞬繋がったらしい。

『あの店長さんはいらっしゃいますか?』

『アルバイトの応募の方ですか?現在この店には店長は不在でして、オーナーが代行しておりますので、明日は8時ごろから出勤してくるので、その時間帯にオーナーに連絡を取ってもらえますか。』

『あっ、はいわかりました。』

答えたものの、その場所を動かず、うつろな目で若者は彼を見続けたという。レジに並んだ客が途絶えた時、若者は歩み出て、

『2週間前からここで働かせてもらってます藤原です。よろしくお願いします。』

と言い出した、店員ならオーナーに連絡取りたいならバックヤードに入って店の固定電話から電話をすればいい。そう思った彼は

『ああ、そうですか、よろしくお願いします。それだったらオーナーに用事があるのなら中に入って電話してみたらどうですか。』

と提案したが、若者は『ああ、はあ・・・・。』と言ったまま黙りこんでまた一歩二歩下がって佇んだ。少しすると動きだし、もう一人の店員の所に歩み寄って挨拶をしていたようだ。

その後会釈をして、生気もなく歩き、店外へ出て行った。どうやら心を止んでいるようだ。全く現実と知覚が一致していないようだったので彼はすぐに『精神疾患の患者だな。』とわかったらしい。時間は23:00前後だった。

その後、若者は5:00頃に

『あの・・・・、お店は空いてますか?・・・・、お店は営業してますか?・・・・・、今日、やってますか・・・。』

と訳の分からない電話をかけてきた。シフトに入っていた相方が、笑いながら首をかしげて戻ってきて

「あの昨日の夜来てた藤原っての、今電話かけてきて、お店あいてますか?って連呼するから気持ち悪くなったんで切りましたよ。」

と言ってきた。完全に精神疾患の症状だった。当然、悪霊渦巻く店で働けば精神が飛んだ瞬間にそれらの持つ邪気にあてられ幻覚や悪夢を見て症状は悪化する。

しかも、精神疾患の患者にかけてはいけないブロックワード(ネガティブワード)があるわけだが、それを無感情な言葉で吐き散らしている『悪いものを連れてくる女』がいるわけだ。しかも彼女が指導していたという。

『ああ、あの女をうつ病患者に当てたら・・・・。そりゃブロックワードで一発でうつ病暴発やん。もともとうつ病を持ってた人間なら100発100中で殺せる女だよあれは・・・。』

だとしたら・・・・、助けを求めているわけだ。

翌日彼はオーナーに『藤原という若者』のことを聞いてみた。するとどうやらもともとうつ病を持っていた青年だという。最近すこぶる復調したものだから、復帰前になれさせるためにシフトに入れたらしい。

ところがあの『悪いものを連れてくる女』にブロックワードをガンガンぶつけられて、完全復帰前に仕事に慣れさせるどころか、完全にうつ病復帰し、さらに悪霊にあてられて前にもまして重症化してしまったようだ。

店はさらに瘴気が蓄積されていった。あまりにも溜まってしまったので、人の命を喰うほどに膨れ上がっている。不幸の仕上げに向かって時は静かに進行していた。
posted by amanouzume at 17:56| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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